「みんなの集落研究所平成25年度成果報告会」開催報告
おしらせ
平成26年6月28日(土)、勤労者福祉センター4階 大会議室にて、
「NPO法人みんなの集落研究所 平成25年度成果報告会」
を開催しました。
設立初年度となった昨年度一年間のみんなの集落研究所の取り組みをについて、ご報告をさせて頂き、地域の状況や課題・取り組みについて多くの方に知って頂くために開催しました。
当日の参加者は自治体職員・企業の方・集落の方、社協の方、NPOの方など52名(スタッフ含む)と非常に幅広く、多くの方にお集まり頂くことができました。
誠にありがとうございました。
当日の様子を振り返ります。 → 当日資料:平成25年度成果報告会.pdf
13:30~ 開会
代表執行役 石原達也から開会にあたり、本日の会の趣旨やタイムスケジュールなどを説明しました。
13:35~ 成果報告・今後の取り組み
首席研究員 阿部典子から事業マップにより、昨年度事業および事業全体について説明しました。
昨年度は20の事業に取り組んできましたが、それを大きく分けると、
事業の柱として以下の3つの柱に分けることができます。
①生活の安心・安全[生活課題の調査]
②課題解決のための連携[ネットワーク]
③地域の事業運営やしくみ再編を支援[集落自治]
この後、上記の3つの柱について、それぞれ成果報告を行いました。
①生活の安心・安全[生活課題の調査] 報告者:上級研究員 西山基次
集落の生活課題についての調査と今後の取り組みについて報告しました。
既存のサービスが支援を必要とする人に届いていないのではないか?という仮説を元に
1.既存サービスの洗い出し、リスト作成
2.支援を必要とする人へのヒアリング
を実施し、ヒアリングにおいてサービスが届いていないケースが出てくるので、
その部分が本来はサービスとしてつくっていかなければならない部分であると想定し、
調査を実施しました。
その結果、やはりサービスが届いていないケースが分かりました。
その中でも隣町へ行く移動手段がないといったケースは特に県境地域で見られ、
行政区を超えてのバスがない状況でした。
こうしたケースに対しては、やはり民のサービスを活用すること重要であり、
近くにある既存の拠点施設やその資源を活用することで課題解決に結びつけることができます。
その他にも高齢者の生きがいづくりのためのサポート、高齢者の体調や生活に合わせたサービス、
助け合いサービスによる困り事解決、移動とセットにしたサービス提供など
隠れたサービスやニーズから解決へつながるサービスを提示しました。
今回の調査は、サービスの把握とニーズから分かる必要なサービスの把握という部分で、
これから地域を支援していく際に様々な方法で活用できるものです。
その活用方法の一つとして、
介護保険法改正による予防給付の地域支援事業への移行(市町村の事業に)に対する備えがあげられます。
要支援者向けサービスが地域支援事業へ移行し、市町村の事業として、地域の人材や資源を使って、
みんなで支えていくための仕組みを構築していくためには、
今あるサービスの把握と的確なニーズをとらえるということが不可欠です。
それに対して今回の調査で得たサービスリストと本来必要となるサービスは、
双方に対してアプローチをできており、その調査手法とともに活用が期待されます。
②課題解決のための連携[ネットワーク] 報告者:執行役 桑田聡志
みんなの集落研究所がこれまで関わってきた企業や団体、地域とのネットワークの状況について説明しました。
「主に生活支援に取り組んでいるネットワーク」と「主に地域のかせぎづくりに取り組んでいるネットワーク」に
大きく2つに分けてご紹介しました。
・主に生活支援に取り組んでいるネットワーク」
笠岡では、認定NPO法人子ども劇場笠岡センター(ハーモニーネット未来)を中心に、生活支援に関する情報交換会を
企業やNPOらを交えて取り組んでいます。
また吉備中央町では、買い物しやすい環境づくりに向けて、地域と企業が一緒に解決へ向けて取り組んでいます。
その他、地域で生活支援のために取り組んでいる建設業者、薬局、商店、社会福祉協議会などとネットワークを構築しています。
・主に地域のかせぎづくりに取り組んでいるネットワーク
株式会社いちと協働で地域の稼ぎづくりに取り組んでおり、その株式会社いちが持つネットワークによって、
さらに多くの企業(小売業、レストランなど)とも連携をしています。
その他にも商工会、野菜集荷業者、集落、郵便局、NPOなどとネットワークを構築しています。
※企業の名前や関係性などに配慮し、資料は割愛します。
③地域の事業運営やしくみ再編を支援[集落自治] 報告者:執行役 木下志穂
集落の自治について、岡山県内の事例および他の先進事例の情報収集結果を報告しました。
・集落機能の整理・再編取り組み支援
高梁市宇治町のケースをご紹介しました。
地域の現状をアンケートから把握し、それを元に計画づくりを進めていった地域で、
地域を持続させるために、事業(生活・稼ぎ・移住受け入れなど)をすすめることを、
円卓会議で自ら決定し、総会で承認されました。
そして、行事仕分けを行うことで、地域として今後取り組むべき「移住定住」「生活基盤確保」につなげていこうとしています。
・先進事例 島根県雲南市 「地域自主組織」
地域の機能が減少していく中で、自分たちで問題を解決し、小規模多機能自治を進めるために、
雲南市では、「地域自主組織」が市内全域で結成されました。
特徴としては、公民館を交流センターへ変えて、地域自主組織の活動拠点とし、
指定管理料や交付金を支払い、体制基盤を整備しています。
またイベント型から課題解決型へ移行し、地域の総合力で課題解決するために取り組んでいます。
・岡山県内の住民自治条例
岡山県内でも雲南市同様に住民が主体的に参画できるまちづくりを目指して、住民自治条例を制定している市町が
新見市、矢掛町、笠岡市、瀬戸内市、備前市の5つあり、その取組状況を調査しました。
調査は条例制定のプロセス、市民・議会・行政など各セクターの役割、具体的な支援策などの項目で行いました。
現在、岡山県内でもまちづくり協議会など集落再編の動きが出ている中で、それらの組織が本来の目的を果たすために、
みんなの集落研究所が情報収集・調査・情報提供などをしていきたいです。
合わせて、現在発行準備を進めている機関誌のご紹介をしました。
今後、会員向けに機関誌を発行し、集落に役立つ情報を発信していきます。
15:05~ 休憩
15:15~ パネルディスカッション
「生きがい×しごと ~支事づくりの可能性~」
・岡本勝光(NPO法人みんなの集落研究所会長・NPO法人てっちりこ)
鏡野町の奥津地域で、特産品である姫とうがらしを加工・販売している。
その際に、高齢者に栽培や加工をしてもらって、生きがいづくりをサポートしたり、
ゴミ収集業務やクロネコヤマトのメール便、郵便配達など地域のインフラを支える活動もしている。
仕事ではなく、支事(しごと)。支える事も支えられることも支事である。
・水柿大地(NPO法人みんなの集落研究所執行役・上山集楽 みんなの孫プロジェクト)
美作市地域地区で、棚田や古民家の再生をしながら、「みんなの孫プロジェクト」に取り組んいる。
高齢者は話をしたいニーズを持っていることから、草刈りなどの依頼を受けた際に、
強制的にお茶やご飯の時間を設けてもうらうようにしている。
それにより高齢者へ人とのコミュニケーションの場を提供すると同時に、
わざわざ人に頼めないようなちょっとした困り事も話の中で出てくれば、サポートしていく。
お年寄りとの話の中で、事業のヒントや情報がつかめることもある。
また田舎では、一つだけでなく様々な仕事を組み合わせていくことが必要で、
現在5万円の仕事を5個つくり、月に25万円の収入にするために取り組んでいる。
Q.あなたの仕事は何ですか? → A.「孫」
・梅谷真慈(NPO法人みんなの集落研究所執行役・上山集楽)
美作市上山地域で、棚田再生などに取り組みながら、林業や獣害を稼ぎづくりにするために取り組んでいる。
地域には、「地域内でまかなえるもの」と「他の交易でまかなえるもの」があり、
その10分野に対して、若者がチャレンジできるようにしていきたい。
美作市では年間3000頭のシカが捕獲されるが、活用されていない部分(特に毛・革・角など)があり、
それを活用して売れるようにしていきたい。
Q.あなたの仕事は何ですか? → A.「農業」
・桑田聡志(NPO法人みんなの集落研究所執行役・山村エンタープライズ)
美作市梶並地域で活動中。
山村シェアハウス・・・関東圏から若者が来て暮らしている。
山村ハローワーク・・・草刈りなど仕事を請け負う。
山村ワーキングホリデー・・・およそ一週間の田舎体験
山村オルタナティブスクール・・・林野高校で授業 「美作学」
その他、農場、古民家、民芸など
現在、人おこしプロジェクトを進めており、ニートやひきこもりの人が
田舎でどんどん変わっていく経験から、田舎が持つ人を起こす力を広げていきたい。
Q.あなたの仕事は何ですか? → A.「何でもします!」
パネリストが地域で様々な支事づくりに取り組んでいることを受けて、
後半は参加者同士で支事について、意見交換を行いました。行政、企業、地域と様々な方にご参加頂いていたので、それぞれの立場からの支事への向き合い方について話し合うことができました。
16:30 閉会
会長 岡本勝光より閉会のご挨拶を致しました。
今回はじめての成果報告会を開催し、参加者の方からも評価の声を頂くことができました。
後半のパネルディスカッションに登場した、集落で活動する若手の取り組みに対してのエールもありました。
しかし、「もう少し詳しく知りたかった」などの感想もあり、事業の成果を十分にご説明ができなかった部分もあるように思います。
そのため今後もこうした成果報告会や勉強会など定期的に活動をご紹介できる機会を設けていき、多くの方に集落の課題や解決に向けた取り組みの現状を知って頂けるよう努めて参ります。
みんなの集落研究所を引き続き、どうぞよろしくお願い申し上げます。